肝臓病になって以来、処方され服用を続けている「ウルソ錠(ウルソデオキシコール酸UDCA)」ですが、簡単な知識(胆汁の流れがよくなる・漢方由来)しかないままでした。
そもそもUDCAとは何か?肝臓病に広く処方されるといわれる「ウルソ錠」について詳しく調べてみました。
ウルソ とは
名称について
まず「ウルソ」という名称に関しては、商品名になります。
製造販売元である田辺三菱製薬の登録商標であり、昭和32年(1957年)に承認された肝・胆・消化機能改善剤になりますので、半世紀以上経過しています。
くすり情報

「ウルソ錠」の添付文書にある情報です。
主成分が「ウルソデオキシコール酸」であり、商品名にある重さが有効成分の量を表していることがわかります。重量が75/150mgなので残りの1/3が添加物ではないかとおもいます。
作用と効果
胆汁分泌の促進作用により胆汁の流れを改善し、また、肝臓で疎水性胆汁酸と置き換わり、肝細胞の障害を軽減します。さらにサイトカイン・ケモカイン産生抑制作用や肝臓への炎症細胞浸潤抑制作用により肝機能を改善します。他に胆石溶解作用、消化吸収改善作用があります。
くすりのしおりより引用
ウルソデオキシコール酸とは?
胆汁酸の1つ
主成分であるウルソデオキシコール酸(UDCA)は、ヒトの体内(肝臓)で作られる胆汁の中にある「胆汁酸」の1つです。
「胆汁酸」にはいくつか種類があり、肝臓で合成された一次胆汁酸「コール酸(CA)」・「ケノデオキシコール酸(CDCA)」と、小腸内で腸内細菌のはたらきにより、二次胆汁酸「デオキシコール酸(DCA)」・「リトコール酸(LCA)」・「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」などに変わります。
胆汁酸の働き
胆汁酸を含んだ胆汁は、洗剤の界面活性剤のような働きをすることで、水に溶けない油(脂質成分)を変化させ、腸内で脂肪の消化吸収を促進する作用があります。
その後、胆汁酸のほとんどは腸内から再吸収され、門脈を通り肝臓に戻り再利用されることで循環しています。
胆汁酸のデメリット
洗剤のような働きをする胆汁酸ですが、その効果が強くなる反面、細胞を壊してしまう細胞毒性が強くなってしまいます。
いくつか種類のある胆汁酸ですが、種類によって有害性の強さ(疎水度)が違います。そのなかでも「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」だけは逆で、親水性のため細胞の保護作用があります。
この作用がくすりの作用に記載がある、「疎水性胆汁酸と置き換わり、肝細胞の障害を軽減」のことになります。
利胆作用
いくつかある胆汁酸ですが、それぞれ比率が違います。約80%が「コール酸」で、その次に多いのが「デオキシコール酸」になり、有害性の少ない「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」は数%ほどしかありません。
胆汁酸は上記で書いたように体内を循環しますので、肝細胞の障害を軽減する「ウルソデオキシコール酸(UDCA)」の服用を継続することによって、有害な胆汁酸の比率を減らすことで肝細胞の機能を改善する作用が高まり、結果的に胆汁の分泌が促進されます。
肝臓病と「ウルソ錠」まとめ
肝臓病に広く処方されているといわれる「ウルソ」ですが、肝臓病の原因はさまざまなので根本的な治療にはなりませんが、以下の作用によって肝機能障害の進行を遅らせるためにも重要なことがわかりました。
- もともと胆汁の中にある成分であること
- 肝細胞毒性がなく、保護作用がある
- UDCAの比率を上げることで肝細胞の機能を改善する
ウルソの特長 – 田辺三菱製薬
胆汁酸代謝と腸内細菌 – 腸内細菌学会
胆のう – 中外製薬
胆汁酸 – 脂質エンサイクロペディックデータベース
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